先に生まれただけの僕 4話ネタバレ「最後の3年生の学年集会に注目!」

〈校長室で教員採用申込書を眺める鳴海〉
鳴海:他にいないか事務長!

柏木:残念ながら非常勤講師として今すぐきてもらえるのはこの人たちだけです。

   予備校から講師を呼びましょうか?

柏木:がんばっておられたから自分が数学をされたらどうですか?

鳴海:みんなが島津の様な授業ができたらいいのに…


〈職員会議〉

鳴海:島津に教えてもらってアクティブラーニングの実践をしよう!

柏木:大学進学の実績をあげてうちへの志願者を増やすには先生方が

   がんばっていただくしかない。

島津:どの教科でもできます。

柏木:全部の授業を変えるのは無理。

   3年生はもう11月だから無理ですが,

   授業内容を変えるとするならば1年生と2年生ですね。

 

 

〈夕食 レストラン〉
市村:私一番にちひろちゃんが手を挙げると思ってた。

   島津先生の授業良いって言ってたし。

真柴:なにか引っかかるんだよね。

市村:ちひろちゃんってこじらせてるよね?

   彼氏いない歴7年?もしかしてこの先ずっと一人でいいと思っているの?
真柴:合コンなんて浮ついたところ,私嫌なの~~

(そこへ島津から携帯に電話「真柴先生もぜひいらしてください,勉強会」)

市村:ちひろちゃんのこと好きなんだ,島津っち。

   私,結婚してるから電話かかってこないのかな?


〈島津の講義〉
20世紀型授業。知識を受け取るという教育。

時に大声で怒鳴ったりもします。

一方通行の強制的な授業を受けている。正解にたどり着くことだけがゴール。

ただこの教育方法では常にクラスの中でゴールにたどり着けない生徒が出てくる。

アクティブラーニングは部活の1つと考えてください。

部活ではコーチが今日の課題を発表します。そして部員たちは練習を始める。

つまり自らがプレーする。強くなるために,試合に勝つためにお互いが

叱咤激励し技術を高め合っていきます。

コーチは常に練習の雰囲気を観察しアドバイスを与えていく。

それと同じことを授業でやっていくんです。

 

鳴海:できるかもしれない!!

柏木:教壇に立ちますか?校長?

鳴海:立ちます!!


〈保健室〉

勉強中の鳴海。「生徒に丸投げをしない」等独り言…

綾野:ますますストレスがたまりますよ。

 

 

〈本社〉
加賀谷:鳴海と同期だったな?連絡取り合っていないか?

    こんなもの送ってきやがった。
(京明館高校授業改革案を机に投げ捨てる)

あそこを黒字にしろとは言ったが改革しろとは言ってないんだよ。

後藤田:加賀谷専務は鳴海がお嫌いなんですか?

松原:何がダメだんですか?鳴海は弘前営業所も2年で黒字にしました。

   いまだって加賀谷専務に言われたことを一生懸命やっています。

専務が鳴海さんを嫌う理由が分かりません。

加賀谷:人の好き嫌いに理由は無い。

~松原 後藤田 退出~

加賀谷の秘書(香坂):加賀谷専務はそういう人を配下に

           置きたいんだってことですね。

 

〈レストラン〉
鳴海:この前結婚は考えられないって言ったけど里への

   気持ちは変わらないしもう少し落ち着いたら考えよう,結婚。
松原:(涙ぐむ)ほんとに?

ハンカチを渡す…(周囲の注目を浴びてしまう)

 

 

〈全校集会〉
鳴海:これから1年生と2年生に「おもしろい」と

   思える授業をやっていきます

柏木:おもしろいって言っちゃった…

原崎:勝手に宣言すんなよ

杉山:私達の授業がつまんないっていうの?

 

気合を入れて2回目の数学の授業に向かう鳴海(柏木に激励される)

真柴(現代社会),市村(日本史)矢部(音楽 クラシックとヘビメタの聴き比べ)

鳴海も以前のやり方をパワーアップさせて授業をする。

 

 

〈一方3年生の物理教室〉
郷原の物理も変えてほしいと生徒から苦情。

郷原はあれは校長の勝手な意見だと突っぱねる。

〈校長室〉

アクティブラーニングを実施した先生たちが集まる

(口々に)

あんなに生徒が前向きになってくれるなんて初めてでうれしかった!!の意見が続出。

大成功じゃないですか~~

この授業を毎回やるんですか?(不安の声)

1・2年はアクティブラーニングで3年から受験にシフトする。

私立だからできるカリキュラムですね。

こういう方法で進学校に変貌した学校もあります。

全員の賛成を待っていたら事は前に進みませんよ。

 

3年生3人が乱入。
岡村 田沢 吉川 3年生の授業は面白くないままです。

いい学校にしたいっていうのは私達は入っていないんですか?

京明館高校切り捨てられたんですか?

(3年生のクラスに戻る三人)

私達は…どうでもいいのかよ。ふざけんなよ。

俺ら三年生はもうどうでもいいんだってこと…

 

 

〈職員会議〉

校長の話を聞いてむかついた。っていう3年生があとをたたず。。。

こんなところに落とし穴があったとは…

どっかで区切りをつけないといけない。手さぐり?1年・2年を実験台にしているんだ。

3年の担任達:

私達は改革案に賛成していません!

カリキュラムを変えるということは生徒の人生を変えるということですよ。

偏差値44の生徒は文句を言わないとでも思ったんですか?

 

真柴:生徒はクライアントで有り商品という考え方は分からないが,

   この学校は変えなくてはいけない。

   そのためには生徒が変わらなければいけない。

   ほんとに変わるべきなのは私達教員だったことが正しいということが

   分かりました。

   変わらなければいけない。生徒たちの目の輝きを見て思ったんです。

   ほんとに変わるべきはじぶんだったんだって。

3年の担任達:3年生は寂し~い気持ちでここを卒業することになるんだわ。

綾野:3年生は傷ついている。だったらどうケアするべきかを考えないといけない。

   変わる時にはどこかで線をひかなくてはいけない。

   それは謝って分かってもらわないといけないのだと思います。
島津:就職組と専門学校組は別にして進学組の学力を細かく分けて学力別に

   細かく指導するとか…?

3年の担任達:そんなの私達の負担が増えるだけです!!等口々に文句。

柏木:それはやっていただきたいです。というよりやるしかない。


鳴海:これは僕のミスです。前のめりになってしまった。頭を下げる。

   僕は素人なので進路指導はどのようにやっていいのか分かりません。

   どうかよろしくお願いします。(ふたたびお辞儀)

 

〈本社〉
後藤田:お前いつから教育者になったんだ?

鳴海:学校という性格上どうしても生徒と向き合わなくてはいけない。

後藤田:学校の理念を変更する?お前は自分の城を作って満足したいのか?

鳴海:今の京明館高校はグローバルな人材の育成じゃなく,

   地に足のついた目標の方がよい。
後藤田:この高校を好きにしていいとは言っていない。

    全員のコンセンサス(合意)をとったのか?数字で出して来い。

    何で社員バッチをはずしてんだ??樫松の社員だろ!!

怒鳴られて腰抜けになる鳴海。

 

〈エレベーター〉
香坂(後藤田の秘書):

    このあいだカッコよかった松原さん。

    あの怖い専務にケンカ売っちゃって。

    だからかな,鳴海さんにはガッカリ。

    ちょっと言われただけで腰抜けになっちゃって。あんな人と結婚するの?
と言い捨ててエレベーターを降りる。

 

 

〈翌朝〉
登校してくる生徒たち  眺める鳴海

真柴:昨日は済みませんでした。弓道部の岡村さん。

   ああいうことは担任か顧問の私に言うべきなのに…

   彼女を納得させられなくって住みませんでした。

   ほんとに3年生は疎外感を感じているんだと思います。

   やっぱり校長先生からなにか言ってあげるべきだと思います。
鳴海:

どうして真柴先生が(そんなことをいってくれるんですか?)?

僕のことを否定していたのに…

本当に素人でこんなことになっちゃっているんですよ?

 

 

〈保健室〉
2年生の須崎が横になっている。
骨にひびが入っている?病院でレントゲンをとりに行く。

今日の朝練で引退した3年生が来たそうです。

しごきの様な練習をして練習中の事故。やはりストレスがたまっているのでは?

鳴海:3年生を集めてください。

 

 

〈3年生の学年集会〉
みんなに謝ります。

僕はこの京明館高校を改革するために校長として赴任してきました。

でもその改革プランにみんなは入ってません。

卒業が近い3年生だから仕方がなかった。

君たちの心を傷つけたのなら僕の失敗です。ほんとにごめんなさい。

ただあえて言わせてもらいます。こんなこと社会に出れば普通にあります。

社会では人は公平に扱われません。

必ずどこかで線引きされ評価され誰かが選ばれ誰かが落とされそうやって

それぞれの居場所が決まっていくんです。

卒業したら就職するひとたち立ってもらえますか?

社会に出たら理不尽なことがたくさん転がっています。

僕に腹を立てていると思うけど社会での理不尽はこんなもんじゃない。

それは覚悟しておくべきです。もちろん入った会社がブラックだったら,

そんなのはすぐに辞めたらいい。次の仕事を見つけるのは大変かもしれないけど,

心を病んだり命を落としたりするような職場だとおもったら

さっさと逃げていいんだよ。でも理不尽なことは当たり前におきます。

当たり前にいます。ちょっとやなことがあったからと言って

心が折れていたらこの先生きていけません。そんなときはまさに線引きです。

どういう時にがんばるのか,どういう時に逃げるのか,線引きしてください。

専門学校にすすむ人たち立ってください。

自分の将来のことを今から決めてそのための選択をしたことはいいと思います。

でもここでもやっぱり現実の厳しさがある。

専門学校で習うことはどの業種でも基礎中の基礎。

実際にその職場に行っても最初は何もできないと思います。

この仕事で必要なスキルは現場で学んでいくんです。

だから「こんなはずじゃなかった」とおもっても

それは普通のことだと思ってください。

仕事をしてお金をもらうことは簡単なことじゃないんです。

 

 

~後藤田が来校~

大学に進学する人
この中のどのくらいの人が勉強をするために大学に進学するのか

まあ僕はよく分かりません。

大学を卒業した方が就職に有利だとか今はやりたいこと決められてないから

とりあえず大学に進学して,それから考えようという人もたくさんいると思います。

でもあえていいます。今の京明館高校のレベルでは入れる大学は決して就職に

有利な大学ではありません。多くの企業は採用のポイントに

大学のランクを入れています。それが現実です。

だからこそみんなは大卒という肩書ではなくて一人の人間として,

人間力で勝負しないといけないんです。

だから大学の四年間は絶対に無駄に過ごしてはいけません。

大学のいいところは自由が増えること。好きな授業を選択できる。

キャンパスに一人でいても大丈夫。誰も何も言いません。

戸惑うこともあるかもしれません。

例えば‥‥政治学部に入ったらどんな授業があるとおもう?

例えば18世紀のイギリスの政治について勉強したりするわけさ。

こりゃもう高校以上にこれ何の役に立つんだろうって思うかもしれない。

でも仕方無いの。大学は専門的なことを学習する場所なんだから。

だから受けたいと思う授業があればおもしろいと思うけど,

なければ単位の為に卒業するためにがんばらなくてはいけない

そこで勉強するのは学問だけではありません。

とにかくいろんな奴がいるということです。

同じ学年にも上にも下にもいろんな奴がいる。

とにかく話したりするわけさ。

教室・サークル・居酒屋 真面目な話からくだらない話まで

とにかく熱く議論するんです。そうすることで自分の視野が広がるんです。

きみなんかそういう体験をすることですごく成長すると思うよ。

今回みんなに指摘されて問題に気が気づくことができました。

やっぱり人としては正面からぶつかっていかないといけない。

人と人とぶつからないといけない。

そういうことをみんなは僕に思い出させてくれました。

大学に行くみんなはこれからの4年間が自分の人生を決めるくらいの

気持ちで思ってもらわなければなりません。

僕ら企業の人間から見ればだめな人間はすぐわかっちゃう。

どんなに自己アピールがよくて,どんなに話を盛っても,

嘘はすぐ見抜かれてしまいます。

だからそういった場でみんなが語らなければいけないことは,

実際に体験したこと・自分たちが感動したことを語れなくてはいけません。

座ってください。


君たちはまだ10代です。

これから10年後20年後どうなっているか分かりません。

まあもちろん将来どうなりたいか決めていて逆算して

それに向かう努力をして実際にそうなれればそれはそれでいいけど,

もしいま将来の自分がイメージできていなくてもそれはそれで構いません。

だって10代の君たちが思いつく仕事なんてたかが知れているんだから。

これからみんなはたくさんの人に出会うと思います。

いろんなことを体験していろんなことを考えていくでしょう。

そうした中で自分がどうした人間なのか知っていき

自分にふさわしい仕事が見つかっていくと思います。

まあそうした中で君たちの事を分かってくれる

誰かが「こっちきたら?」なんて誘ってくれることもあると思います。

そうやって自分の仕事を見つけた大人はたくさんいます。

思い通りの人生なんて絶対にない。絶対に。人は悩み考えることで自分を作り,

その壁を乗り越えることで自信を持っていくんだ。

一番ダメなのは何もしない事です。

サッカーだってそうだろ,走ってる奴にしかパスは回ってこない。

 

後ろに後藤田 睨みつける 

 

これから京明館高校は変わっていきます。

でもみなさん3年生も大事な生徒であることに変わりはありません。

残り五カ月,最後まで自分と向き合ってできれば後輩たちを励まして,

充実したと言いきれるような高校生活を過ごしてください。

 

帰っていく後藤田…
ネクタイをゆるめながら「あの野郎~~」

 

第4話終わり